補助金とは

補助金 補助金

中小企業と補助金

 中小企業を経営されている方にとって補助金は、重要な資金源となる。融資などで得た資金は用途に制限があるが補助金を申請し、交付されたお金に関しては使途自由の「真水」である。経営経験の長い方ほどこの「真水」の価値はご存じだと思う。補助金を申請するうえで入念に作られた事業計画をもとに、新規事業の立ち上げ、設備投資、デジタル化の推進などを行うことで、企業の競争力、付加価値を強化することができる。しかし、現実には補助金の申請者数は多くない。特に、制度の複雑さや申請書類の作成負担の大きさがネックとなり、多くの中小企業が活用できていないのが現状だ。

 また、最近公募のある補助金は公募期間が短く、審査基準がやや不明瞭であり、申請をためらわせる要因の一つである。(事業再構築補助金は審査基準を公表した。一部の補助金では審査基準が公表されているが多くはない。)実際に採択される企業は、専門家の支援を受けながらしっかりとした事業計画を作成しているケースが多く、自己流の申請ではなかなか通りにくい。

 事業再構築補助金の例でみるなら、12回までの募集で採択者数は「80,691者」だった。2024年の中小企業白書によると日本の中小企業者数は「336万4891社」なので(誠に強引な計算ではあるが)「2.3%」の会社がこの補助金の恩恵を受けたことになる。2021年から2024年、年度内で募集階数の差はあれで単純計算で4年がかりで「2.3%」の会社だけが恩恵を受けている。もちろん休眠状態の会社、補助金が不要な会社などもあるが単純計算で考えると多いとは言えない。

 中小企業はもっと補助金を活用すべきというのが持論である。補助金をうまく活用することで、資金調達の負担を軽減し、導入した設備と交付される「真水」の現金で事業の成長を加速させることができる。今年度から多くの補助金は原則返済不要な資金であり、融資とは異なり財務状況に与える影響が少ないので、積極的に活用するべきである。そのためには、補助金の情報収集を怠らず、早めに準備を進めることが重要である。

コロナ禍前後からの補助金

コロナ禍をきっかけに、日本政府は中小企業支援のために数々の補助金制度を拡充してきた。その代表例が「事業再構築補助金」、「ものづくり補助金」、「持続化補助金」、「IT導入補助金」である。

 「事業再構築補助金」は、コロナ禍で売上が減少した企業が新規事業に挑戦する際に活用できる補助金で、最大1億円の支援を受けることが可能だった。(諸条件有)飲食業からEC事業への転換、観光業からオンラインサービスへの移行など、様々な企業がこの補助金を利用した。(最近では売り上げ減少要件がなくなった。)

 「ものづくり補助金」は、革新的な製品やサービスを開発する中小企業を対象とし、設備投資や研究開発費用の一部を補助する制度である。この補助金を利用し、デジタル化やIoTの導入が進めた企業(主に製造業)は自費で買うと高い設備を導入しやすくなった。

 「小規模事業者持続化補助金」は、小企業や個人事業主といった小規模事業者が販路拡大や業務効率化を図るために活用できる補助金。広告費やホームページ制作費、店舗改装費、設備導入などに使うことができる。商工会議所などと連携することで事業計画書を作成する形式なので初心者におすすめ。

 「IT導入補助金」は、弥生会計などの会計システムやDXに必要な設備、ソフトの導入に使える。インボイス開始、人手不足の深刻化もあり、自分の会社で使えそうなものをカタログから探し、導入していってほしい。中小企業の中にはいまだに紙の手計算で決算を行っているところもあるがそろそろ国と税理士が泣き出すので早めに導入してあげてほしい。

2025年補助金のトレンド

 注目の補助金に関してはまた別記するとして、補助金にはトレンドがある。コロナ禍前後は赤字からの回復、コロナ化後は回復の加速、そして2025年は「賃上げ」である。「もはや戦後ではない」、といった具合か「もはやコロナ禍ではない」と政府が動き出したのは2024年初頭からで、セーフティーネット4号の受付終了などが大きいのではないか。補助金もコロナ禍でダメージを受けたか同課ではなく、収益性や付加価値といった成長性に話題がシフトした。2025年は中小企業に賃上げする体力をつけさせるため、補助金を交付する流れであり、おそらく補助事業計画書は「補助事業を行い、○○円余裕ができるので△△円賃上げができるようになる」という形式がトレンドになると予想される。

上がり続ける最低賃金と補助金

 「最低賃金の上昇っていつ頃収まりそう?」と聞かれたことがあったがおそらくこのペースで延々と上がり続ける可能性が高い。今後の中小企業に重要な事は、どんどん新しい設備を導入して、どんどん稼いでどんどん賃上げしてを繰り返して成長することだ。(もともとそうなのだが。)毎年5%近く上昇を続けているので会社も毎年5%成長していないと他の経費をへらして人件費に投入せざるを得ない状況だ。よほど高単価な仕事、利益性の高い事業でない限り、今後対策をせずにこの賃上げラッシュを耐え抜くのは難しい。補助金の申請は難しいがこの際、国の作っている流れに乗って賃上げのための省力化や投資拡大を狙っていくべきだ。(社長個人のお金が有り余ってたらそこから人件費出してくれてもOK)

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