補助金申請は誰が行うべきか?

補助金は誰が行うべきか 補助金

補助金申請は誰が行うべきか?

 補助金の申請は、企業や個人事業の将来を左右する重要な手続きである。社運を賭けた大勝負となる会社さんも多いことから、最も適任なのは事業の責任者である社長や事業主自身。なぜなら、補助金は単なる資金調達ではなく、事業計画の一環であり、事業の方向性を決める権限を持つ社長や事業主が申請を行うことで、計画の一貫性が保たれる。補助金の申請時には決算書や現在の収支状況、会社の冬季状況など、社長以外だと把握していない内容を多く含んでいる。

 また、補助金の申請書類に、自社の現況や今後の展望、理念やビジョンを正確に記載する必要がある。最も正確に行えるのは社長や事業主自身である。政府の狙いでもあるかとは思うが、補助金の申請プロセスを通じて、経営者自身が事業計画を見直す機会にもなり、経営の強化につながる。逆に、補助事業の申請書が読めない、補助金の申請が分からない、何を書いたらいいかわからないならそろそろ交代の時期かもしれない。

 そのため、補助金は原則、社長や事業主が自ら申請を行うことを基本方針とし、申請に必要な知識を身につけることが望ましい。時間的に難しいならぜひ徹夜でやっていただいてもよいかと思う。

次点として役員

 なぜ社長に上記のように厳しいことを言うのかというと他人にやらせると「1億%」齟齬が出るからである。「10億%」でもかまわない。絶対に齟齬が出る。齟齬が出なかったことがない。この目次以降は絶対に齟齬が出るけどやむを得ない方向けである。

 社長や事業主が補助金申請を行うことが原則だが、事業の規模や業務負担の関係でどうしても対応が難しい場合は、役員が代行するのが次善の策となる。役員であれば、会社の経営方針や戦略について理解しており(と信じて)、社長に次ぐ意思決定者として補助金の申請をしていただいてもよいと思う。

 また、役員は(普通の従業員と比べれば)財務や事業戦略に関与していることが多いため、補助金の使い道や収益計画について、事務局に対して適切に説明できるだろう。特に財務担当役員や事業開発担当役員であれば、事業計画の策定や資金管理の面で詳細な内容を記載できるだろう(と信じている)。

 ただ、役員が申請を行う場合でも、社長や事業主は絶対に一緒に作業すること。特に事業内容や具体的な数字は社長と役員が一緒に決めること。そうしないと、「役員が書いた事業計画書、通ったはいいけどなんかよくわからん。」とか「この内容ではできない。ボツで。」とか言われて役員が憤死しかねない。役員が主体となる場合でも、社長との綿密な打ち合わせを行い、申請内容の一貫性を保つことが成功のカギとなる。

コンサルタントの利用は最終手段

 近年、補助金申請を専門とするコンサルタントが増えている。筆者も好んで名乗りたくなる名前ではないがいわゆる「補助金コンサル」の一部なのだろう。補助金コンサルは、補助金の申請に関するノウハウを持ち、事業計画書の作成や申請書の添削を行うことができる。(たまに変なの混じってるけど)しかし、コンサルタントの利用は最終手段と考えるべきだ。

 コンサルタントが作成する事業計画書は洗練されている(ことが多い)。外見上は整っているかもしれないが、企業の実態と大きく乖離していることがある。補助金の事業計画書の重要な要素の一つとして、「申請書の整合性」があり、現実とかけ離れた計画書では採択されにくくなる。また、コンサルタントの視点だけでは、事業の本質を十分に理解することが難しい。昨今の補助金ではオンラインでの質問対応やヒアリングがあり、その際何と、顔付きの身分証明書を要求されたり、給与台帳に載ってないとダメなど、国はコンサル弾きを始めている。

 さらに、コンサルタントに依頼することで高額な手数料が発生する場合がある。悪質(?)な場合では事業計画書だけで20%取るところもあり、そのほかの手続きは別料金、全部頼むと半分近くもっていかれることもある。そのため、コスト対効果を十分考慮し、自社で対応可能な範囲は自力で進めるのが望ましい。

一般従業員に任せるのは避けるべき

 コンサルよりはましか、コンサルよりひどいかはその一般従業員さんにかかっている。たまに役員より財務に詳しい方がいてビビる。とりあえず結論から行くと補助金申請を一般の従業員に任せるのは、避けるべき。一般従業員は、通常業務で忙しいのに、申請書を書け、計画書をかけ、銀行と話してこいなど、到底対応が難しい。そもそも、一般従業員は経営方針や事業計画についての理解が限定的であり、補助金の目的や申請要件を正しく把握するのが難しい。

 特に、補助金の申請には、事業の将来性や資金の活用計画を明確に示す必要がある。これらは経営者や役員レベルでなければ適切に説明できない。企業の付加価値額が年何%成長するとか、経常利益がどうとか、一般従業員の理解の範疇を超えている。結果として、事業計画に関して経営者層とものすっごい齟齬が生まれたり、ものすっごいメルヘンチックな事業計画書が爆誕したりする。

 補助金の申請は複雑であり、要件に適合しない申請は不採択となるリスクが高まる。従業員が単独で申請を進めると、細かな要件を見落としたり、不適切な表現を使用したりすることがあり、申請の成功率が下がる原因となる。

 ただ、従業員が申請作業をサポートすることは有効だ。社長などに代わって必要なデータの収集や書類の整理、誤字脱字のチェックなどの補助作業を担当させることで、経営者や役員の負担を軽減しつつ、申請の精度を高めることができる。あくまで、補助金の申請は経営層が主体となり、従業員は補助的な役割に徹するのが理想的だ。

補助金申請と会社の未来

 一般従業員が補助金をやっているなら社長と役員がやばい。やばすぎてやばい。補助金は国から金を引き出すものと言ってしまえばそれまでだ。ただ、補助金ありきの政策を打ち出し続けているようではいつか先で手詰まりになる。補助金の事業計画書作成や申請を通じて、今の世の中のトレンド、国の方針、決算書の見方、計画案をアウトプットする力を社長、役員が身につけるのは理想であり義務である。会社の未来を案じるなら、社長、役員が自ら補助金、経営等に関して勉強し、実力をつけていくべきである。

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